受託加工コラム

OEM COLUMN

パフ加工が難しいもの/加工実績

お問い合わせ時にパフ加工に関するご質問をいただくことが多々あります。ご質問の中でも「この原料はパフ化できるのか」とお問い合わせいただくことが多く、原料によっては弊社でのご対応が難しく、お断りさせていただくケースもあります。今回はどのような原料はパフ加工が難しいのか、その理由についてご紹介していきます。

 

【パフ加工が難しいもの】

①形状が小さすぎるもの

パフ加工後の冷却の様子

弊社では熱風焙煎機を用いてパフ加工をおこなっています。高温の熱風で焙煎しているため、品質保持のため焙煎後には必ず冷却工程が必要となり、弊社では右図のようなベルト式の冷却器を採用しています。該当焙煎機では焙煎物を一定の厚さにならし、パンチングステンレス帯板を張ったコンベヤ上を連続的に移動させています。コンベヤ下から空気を引っ張ることで放熱させ、焙煎品を速やかに冷却しています。パンチング穴が空いているため、形状の小さな原料は空気と一緒に引っ張られてしまい、商品の回収ができず製造が難しいです。大きさの目安としては、キヌアやアマランサスよりも小さなもの(直径1㎜以下)は加工が難しいです。

加工NG原料
ゴマ、テフ、粉末品など

 

②油分が多いもの/糖度が高いもの/粘り気が出るもの

弊社のパフ加工では、原料由来の形状を保ったまま膨化させていることが大きな特徴です。熱風焙煎機を用いて、原料内部にある水分が蒸発する力を利用して膨化させているため、原料に油分が多いものは膨化しづらく、弊社の加工方法ではパフ化が難しいです。また油分が多いものは焙煎することで機械内部にくっついたり、焙煎焦げが発生しやすくなります。大豆であれば、丸粒状は難しいけれど引き割り大豆であれば対応可能など、原料によっては形状を変えることで可能なケースもあります。ただし膨化できても、油分の低いものに比べて食感は硬い傾向です。
また糖度の高いものや加熱により粘着成分が流出するものは、焙煎機内部に張り付いてしまうため適切なタイミングで製品排出できず、黒焦げになるケースが多く弊社設備では加工に向いていません。

加工NG原料
大豆(丸粒状)、コーヒー豆、カカオ豆、チアシード、ドライフルーツ、昆布(表面に粘り気があるもの:種類による)、酒粕など

 

③形状が平たく細長いもの/比重が重すぎるもの

パフ加工には縦型のドラム式熱風焙煎機を用いています。原料を上から投入後、焙煎機内部に小部屋に区切られた回転ドラムがあり、ドラム下部から熱風が出ます。原料がドラム内を舞い、ほぼ熱風のみによって焙煎されます。そのため、原料投入時に詰まりやすい形状は安定的な原料投入ができず、焙煎ムラ(膨化むら)の原因となるためパフ加工が難しいです。細長い形状をそのまま保つことや大きすぎるものは原料投入ができません。原料の大きさは2㎝角以下を推奨しています。
また原料が重すぎるものも該当焙煎機との相性が悪いです。原料が重たすぎると熱風量を大きくしても焙煎機の底から浮上できず、膨化されません。

加工NG原料
長い形状のもの(適切にカットすれば可能)、生野菜、果実ほか

 

④その他

原料によっては前処理として蒸し乾燥加工をおこなったり、浸漬処理をおこない、原料水分値を整えたり、原料組織を柔らかくしています。その後、熱風焙煎機でパフ化処理をおこなっています。そのため、穀物の薄膜を取り除いてデンプン質が流出しやすいものは蒸し乾燥加工時や浸漬処理時に表面が溶けてしまい、焙煎機での加工が難しく、パフ加工ができません。また外皮が硬すぎる場合は、原料内部にある水分の蒸発する力が外皮に押し負けてしまい、パフ化することが難しいです。
原料の種類によっては外皮を取り除いていただいたり、剝皮加工を避けていただくことをおすすめしています。
また焙煎機の劣化につながるため、調味料を使用された原料の加工はお断りしております。恐れ入りますが、ご了承願います。

弊社で取り扱ったことがない原料については、まずは見本原料を拝見させていただき、原料特性の確認、テーブルテストの実施をおこない、実機試作の可否を判断させていただきます。

 

【パフ加工実績】

製造や試作実績より、下記原料であれば実機での加工が可能でした。原料の種類や形状によっても異なりますので、詳細については別途お問い合わせください。

加工実績
玄米、精白米、もち米、黒米、赤米、大麦、もち麦、オーツ麦(丸粒/圧ぺん)、はと麦(外皮なし)、あわ、きび、ひえ、キヌア、アマランサス、小豆、乾燥ひじき、乾燥わかめ、乾燥野菜(人参、デントコーン)ほか

 

 ■加工イメージ(左:原料、右:パフ加工後)

  • 発芽玄米パフ加工前後

  • もちきびパフ加工前後

  • もち麦パフ加工前後

  • うるちひえパフ前後

    うるちひえパフ加工前後

  • アマランサスパフ化前後

    アマランサスパフ加工前後

  • 小豆パフ化前後

    小豆パフ加工前後 (≒焙煎小豆)

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コラムの監修者

岡本彩

岡本彩

京都グレインシステム株式会社 経営企画室
管理栄養士/ウェブ解析士

入社から3年間は営業部に所属し、育児休業を経て、経営企画室に異動・立ち上げをおこないました。管理栄養士の知識を活かし、当社の加工内容や商品、関連情報をご紹介します。

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