受託加工コラム

OEM COLUMN

最低加工ロットと経済ロット

受託加工のお問い合わせをいただく際、最低ロットはいくらですか、とお尋ねいただくことが多いです。しかし最低ロットで請け負う場合、加工費が割高となるケースが多いです。
医薬品や健康食品など最終商品(販売商品)の単価が高い場合、製造原価に占める加工費の割合が低いためあまり考慮する必要はありませんが、食品や飲料の場合は商品単価が低いケースが多く、低価格帯を希望されるケースが多いです。そのため、お客様の最終商品の価格帯や予算を伺いながら、経済ロットのご提案や使用機器・加工内容の見直しをさせていただきます。今回は加工費の算出ポイントや経済ロットについてご紹介していきます。

 

【加工費算出の要因】

加工費を算出する要因として、下記項目があります。

①人件費 製品製造に関わった時間の人件費
②光熱費 設備を動かす際に関わる動力費(主にガス代、電気代)
③製品歩留 原料を投入し、製品として回収できる量の割合。
製品歩留まりが高い方が、加工賃は下がりやすい。
製造時、機械内部に原料が滞留するため、最低ロットで加工すると製品歩留まりが下がりやすい。
④清掃費(切替清掃) 他製品のコンタミを防ぐため、製造品目毎に切替清掃を実施。
「清掃費÷1回あたりの製造量」で単価を算出するため、1回あたりの製造量が多い方が割安になる。
(計算例) ※清掃費=10,000円と設定した場合。
製造ロット100㎏の場合:10,000円(仮)÷100㎏=@100円/㎏
製造ロット1000㎏の場合:10000円(仮)÷1000㎏=@10円/㎏

 

上記に加え、「日産生産量」も加工賃を左右する要因となり、特に①人件費と②光熱費に大きく関わってきます。1日あたりの生産量が高い商品は、製造にかかる時間が短くなるため、人件費・光熱費がともに下がり、加工費を下げることが可能です。一方、製造に手間がかかり、製造時間が長くなる商品は人件費・光熱費がともにかかり、加工賃が高くなります。

全体として、製造ロットが大きくなるにつれて割安となりますが、製造量と比例するわけではありません。最低ロットと比べ、大幅に加工費が変わるところを経済ロットとし、合わせてご案内しております。

■補足:特に切替清掃に時間がかかるライン

①乾燥粉砕ライン:現在は奈良工場で大型1台のみ所有しています。微粉砕時に熱風を加えながら乾燥と粉砕を同時におこなう設備。原料の種類によりますが最低ロットは500㎏~、経済ロットを考慮すると数t~の加工をご案内している。
②微粉砕ライン:現在は奈良工場、旭川工場で気流粉砕機を複数台所有しています。ご希望のロットやアレルゲンの有無により、各工場の設備をご案内します。

原料のコンタミを防ぐため、原料毎に設備を分解し、各パーツを洗浄、組み上げをおこなっています。基本的には製品毎に分解洗浄しているため衛生的ですが、切替清掃の手間がかかっています。該当設備の大きさにもよりますが、清掃工程に半日~2日程度かかっています。そのため、1回の製造数量(≒発注量)が多い方が、清掃費の単価が下がります。

 

【コストを下げる方法:包装資材の選択】

上記の通り、製造ロットが大きくすることで加工コストを下げることが可能です。その他、コストを下げる要因として、包装資材の選択があります。お客様からの支給やご指定がない場合、弊社で調達している包装資材でご提案をさせていただきます。
弊社では、スーパーやコンビニ等で陳列されるような最終包装形態はおこなっておらず、あくまで業務用のバルク包装のみ対応しています。そのため、次工程での効率化(開封しやすい/使用数量にあった容量など)や保存期間、品質面と合わせてご選択ください。

フレコンバッグイメージ

①フレコンバッグ
種類にもよりますが容量が1t程度あるため、1回あたりの使用量が多いときにおすすめしています。弊社で加工した商品を次工程で大量に使用する際は、何度も開封する手間が省けるので、お客様側のご負担が少なくなります。ただし、フレコンバッグに適応した荷受けや原料投入設備が必要となるため、受け入れ先によって向き不向きがあります。

クラフト袋イメージ

②クラフト袋
原料の種類によりますが、10㎏~20㎏包装が可能です。大きさだけでなく、クラフト袋にも外装の強度、内袋や構造の違いなど様々な種類があります。フレコンバッグでの荷受けが難しい方には最も安価な包材となります。
粉末品の包装も可能ですが、段ボール箱を使用した場合に比べて運搬時の破袋リスクがあること、アルミ蒸着袋に比べて密閉性が弱い点には留意が必要です。

アルミ蒸着袋

③アルミ蒸着袋
粉末品の中でも、品質劣化が早い商品や保管期間が長い(賞味期限を長く保ちたい)場合、密閉性の高いアルミ蒸着袋の使用をお勧めしています。丸粒品に比べ、粉末品は表面積が大きいため酸化の影響をより大きく受けます。そのため、酸素や光、熱に弱い抹茶や吸湿性の高い商品はアルミ蒸着袋の使用をお勧めしています。ただし、他資材に比べて高額となります。
安価にする場合、ビニール袋に梱包して外装に段ボール箱に使用するか、内装と外装が一体となったクラフト袋を使用しています。

段ボールイメージ

④段ボール箱
外装として使用しており、中身が保護されやすく、クラフト袋に比べて安全性が高いことが特徴です。特に混載便で単体運搬する際の破袋のリスクが下がります。ただし、クラフト袋に比べて開封の手間がかかります。
弊社でご用意している段ボールは無地のものが多いですが、お客様から支給いただく段ボールには専用の印字がされているケースが多いです。

製造ロットやお見積りについてお尋ねいただくことが多いのですが、原料の種類や加工内容によって日産生産量が異なるため、ご相談内容に合わせて試算しています。新しい商品の場合、基本的には実機試作を実施後にお見積りさせていただきますが、事前に概算をご提示することも可能です。

試作のご依頼や受託加工のご相談については、お問い合わせフォームより承っています。お気軽にお問い合わせください。お問い合わせ

コラムの監修者

岡本彩

岡本彩

京都グレインシステム株式会社 経営企画室
管理栄養士/ウェブ解析士

入社から3年間は営業部に所属し、育児休業を経て、経営企画室に異動・立ち上げをおこないました。管理栄養士の知識を活かし、当社の加工内容や商品、関連情報をご紹介します。

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