受託加工コラム

OEM COLUMN

焙煎加工のメリットと加工例

食品を安全かつ美味しく食べるために、食品原料はさまざまな形で加熱処理されています。当社の社名にもはいっている”グレイン(Grain=穀物)”は食感が硬く、生の状態で食べることが難しいです。当社ではさまざまな焙煎機を所有しており、加熱処理の1つとして焙煎加工もおこなっています。使用原料や用途、お客様のご要望にあわせて使用する焙煎機を選び、受託加工しています。焙煎加工することで何が変わるのか、どのようなメリットがあるのか、ご紹介していきます。

 

焙煎加工のメリット

当社では「熱風焙煎、熱風ドラム式焙煎、直火ドラム式焙煎」を各複数台所有しており、原材料や用途に合わせ、使用する焙煎機を選択しております。受託加工内容により焙煎温度や加熱時間を調整しますが、焙煎温度は150~300℃まで上がります。高温で処理するため微生物が死滅し、殺菌効果目的でも使用されています。
加熱処理方法の中で「焙煎」が選ばれる主な理由は、「香ばしさ」「風味改善」が挙げられます。高温で焙煎することでこんがりとした焼き色がつき、香ばしさが生み出されます。これらは穀物の成分が反応する「メイラード反応(アミノカルボニル反応)」「カラメル化」などが関係しています。

メイラード反応(≒アミノカルボニル反応)とは
メイラード反応とは、加熱により糖とアミノ酸などの間で褐色物質の「メラノイジン」などができる化学反応のことです。常温でも緩やかに反応するようですが、加熱されることで活発に反応し、155℃前後が最も反応しやすいといわれています。パンやクッキーの焼き色、ご飯のおこげ、コーヒーや麦茶の色や香味もこのメイラード反応に関係しています。メラノイジンの化学構造や詳細な生成メカニズムは未解明のままですが、加熱温度や糖とアミノ酸の組み合わせによりさまざまな香りができるという特徴があります

■カラメル化とは
カラメル化とは、糖類を100℃以上で加熱すると分子のつながり方や組み合わせが加熱によって変化し、シロップ状、アメ状、カラメルとその形状をさまざまに変える反応のことです。165℃を超えると茶褐色になり、香ばしい風味が出てきます。醤油やコーヒー、カラメルソースなどの色はカラメル化に関係しています。

 

KGS焙煎加工例のご紹介

■米

米焙煎前後

米焙煎前後

お米は飲料向け、食品向けのどちらにも利用されており、生のままでは食べることができない穀物です。生米のデンプンは”β-デンプン”状態のため、分子が固く結合し、結晶化しているため食感が硬く、ヒトの体でほとんど消化されません。加水・加熱によりデンプンの構造が変化し、消化吸収できる形に変化します。
米の糖質のほとんどはデンプンで、加水・加熱された場合は、デンプンの糊化が進んでα化されたり、米在内酵素によるデンプンの分解が進み、甘い香りが付与されます。さらに高温で焙煎されるとメイラード反応が進み、香ばしい香りが付与されます。強く焙煎すると苦みも強くなるため、食品向けは薄く焙煎色が着く程度で焙煎を止めることが多いです。

 

■大麦

大麦焙煎前後

大麦焙煎前後

当社で扱う大麦は、麦茶用の六条大麦がメインです。二条大麦よりも六条大麦の方がタンパク質が多く含まれており、麦茶の旨味に大きく関与しています。一方、二条大麦はデンプンが豊富で甘味があるため、麦ごはんやビール、焼酎、味噌などに使用されています。
焙煎大麦を特徴づける香気成分としてはピラジン類があり、糖とアミノ酸が反応するメイラード反応が関与していると考えられています。タンパク質や糖質が多く含まれる原料の方が旨味や香味が強い焙煎大麦になりますが、「雑味を出すことにより味に深みを出したい」「香りを強くしたい」「甘味を優先したい」などお客様によりご要望はさまざまです。ご要望に応えるため、使用原料の選択や焙煎方法・機械を選択しています。

 

■大豆

大豆焙煎前後

大豆焙煎前後

大豆はタンパク質が豊富なため、タンパク質ブームの今、人気がある素材です。栄養素が豊富な一方、生大豆には「トリプシンインヒビター」という消化不良をおこすものや「レクチン」という赤血球凝集素を起こす有害物質が含まれています。これらは加熱処理により無害化されるため、大豆は十分な加熱をおこなって食されています。
また生大豆の青臭さの原因は、大豆に含まれるリノール酸が大豆酵素(リポキシゲナーゼほか)によって段階的にn-ヘキサノールが生成されることだと言われています。加熱処理により大豆酵素が失活されるため、焙煎大豆やきな粉では青臭みの原因成分が発生せず、香ばしさや甘みが引き立ちます。

 

■トウモロコシ

トウモロコシ焙煎前後

トウモロコシ焙煎前後

トウモロコシにはさまざまな品種があり、広く食用とされているのは甘みが強い(≒デンプンが少なく糖質が多い)スイートコーンです。飲料用途では、コーンスターチの原料にもなるデントコーンも使用されており、デンプンが多く、粒が硬いという特徴があります。多糖類であるデンプンを多く含むデントコーンの方が、スイートコーンよりも焦げつきにくいため、デントコーンを使用したお茶はすっきりとした甘みとトウモロコシの香ばしさが感じられます。

 

■お茶(ほうじ茶)

茶葉焙煎前後

茶葉焙煎前後

ほうじ茶とは緑茶の一種で、茶葉を焙じたお茶です。比較的安価な番茶、茎茶などを使用されていることが多いですが、一番茶を使用した高級品も出回っています。
緑茶には多数の香気成分があると言われていますが、生葉には”青葉アルコール”と呼ばれる不飽和アルコールの1種で、青臭い成分の香りが含まれています。ほうじ茶のように焙煎工程を加えると”ピラジン類”が生成され、香ばしい香りが付与されます。また緑茶の苦みの元である”カテキン類”は焙煎により分解・減少するため、焙煎されたほうじ茶の方が甘味が感じやすくなります。

試作のご依頼や受託加工のご相談については、お問い合わせフォームより承っています。お気軽にお問い合わせください。
焙煎加工ラインの詳細情報を知りたい方は、こちらのページより資料請求ください。資料請求

コラムの監修者

岡本彩

岡本彩

京都グレインシステム株式会社 経営企画室
管理栄養士/ウェブ解析士

入社から3年間は営業部に所属し、育児休業を経て、経営企画室に異動・立ち上げをおこないました。管理栄養士の知識を活かし、当社の加工内容や商品、関連情報をご紹介します。

の監修コラム一覧を見る