受託加工コラム

OEM COLUMN

中間原材料の食品衛生について

食品衛生法のもと、食品等事業者は食品の安全性の確保に努めなければなりません。受託加工のご相談をいただく際、ご依頼される加工内容や原料、ご使用用途にもよりますが、微生物規格の設定をどうするのか、殺菌できるのか、とお問合せいただくことが多々ございます。当社で取り扱うことが多い中間原材料における微生物規格や殺菌方法などについてご紹介します。

 

【食品の安全性:食中毒を防ぐには】

微生物イメージ

食品の安全性を確保するために、食中毒を防ぐことは必要不可欠です。食中毒を引き起こす主な原因は「細菌」と「ウイルス」です。「細菌」は、温度や湿度など細菌が増殖する条件が揃うと食品内で増殖し、その食品を食べることで食中毒を引き起こします。「ウイルス」は、食品内では増殖せず、食べ物を通じてヒトの体内に入るとヒトの腸管内で増殖し、食中毒を引き起こします。また食品に付着した特定の「カビ」や「酵母」が食品内でヒトに有害な毒素を発生させ、その食品を食べることで食中毒を引き起こすこともあります。【参照:厚生労働省HP「食中毒」

そのため、食品に有害な細菌、ウイルス、カビなどを付着させないこと、食品内で増殖させないこと、取り除くこと(死滅させること)が重要です。

 

【食品の微生物基準とは】

食品内で増殖する「細菌」「カビ」「酵母」などの微生物が増殖するには、主に5つの条件が必要です。それは、①酸素②温度③栄養分④pH⑤水分で、各微生物の種類により最適条件は異なります。一部の食品については、食品衛生法にて微生物の規格基準や製造方法、保存方法などが定められています。

■食品衛生法における微生物規格基準(一部抜粋)

分類 一般生菌 大腸菌群 E.coli その他
清涼飲料水 陰性
粉末清涼飲料 3,000/g以下 陰性
氷雪 100/ml以下 陰性
氷菓 10,000/ml以下 陰性
魚肉ねり製品 陰性
無加熱摂取冷凍食品 100,000/g 以下 陰性
加熱後摂取冷凍食品 100,000/g 以下 陰性
加熱後摂取冷凍食品であり
凍結される直前に加熱された以外の物
3,000,000/g以下 陰性
生食用冷凍鮮魚介類 100,000/g以下 陰性 腸炎ビブリオ 陰性

【参照:厚生労働省HP「食品別の規格基準について」

また令和3年6月1日に公布された「食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う営業等の取扱いについて」では、洋菓子や惣菜、乳製品などの微生物基準が記載された衛生規範の廃止が通知されました。食品事業者はHACCPに沿った衛生管理が義務化され、ほとんどの食品やその中間原料については、法令における明確な微生物基準が設定されていません。そのため、多くの食品関連企業は「粉末清涼飲料」の基準に着目し、「一般生菌:3,000/g以下、大腸菌群:陰性」を規格上限値としています。小麦粉のように、後工程で必ず加熱するものは「一般生菌:10,000/g以下」などと設定され、原材料の特性や使用目的に合わせ、柔軟に対応しています。

 

【当社の殺菌例、微生物コントロールについて】

コロニーカウントの様子

一般生菌の場合は熱に弱いものが多く、加熱処理が有効です。原料の状態や加熱温度・加熱時間にもよりますが、当社の蒸し乾燥加工や焙煎加工にて殺菌処理が可能です。当社のメイン商品であるペットボトル飲料に使用される焙煎大麦や焙煎米は、加熱時間も長いため一般生菌数はほぼ0です。糠がついている玄米は微生物値が高く、外食産業での使用が敬遠されていますが、当社ではα化加工により減菌した無洗米の状態でご提供が可能です。また一部の生薬原料については、焙煎機を使用して殺菌処理をおこなっています。
あくまでも蒸し乾燥機や焙煎機のため、汚染度の高い原材料を全て殺菌できるわけではありません原材料の微生物値より1/100~1/10000程度減菌することが可能です。そのため、原料状態での微生物値も非常に重要となります。特に取れたての土壌野菜は微生物値が高く、水分値も高いため、当社への移送中に金が増殖してしまう恐れが高くなります。野菜を次亜塩素酸等で洗浄処理し、乾燥処理した状態で搬送・加工依頼いただけるようにご案内しております。

微生物コントロールをするには殺菌・加熱処理をおこなうだけでなく、工場内や製造ラインの清潔さ・作業手順の遵守など製品を汚染させないための工夫が必要です。当社奈良工場では国際的な食品安全システム認証規格であるFSSC22000を取得し、その他工場でも奈良工場と同等の衛生管理のもと製造をおこなっています。
当社の受託加工の項目については、受託加工ページをご覧ください。ご興味がある方は、是非お問い合わせフォームよりご相談ください。

コラムの監修者

岡本彩

岡本彩

京都グレインシステム株式会社 経営企画室
管理栄養士/ウェブ解析士

入社から3年間は営業部に所属し、育児休業を経て、経営企画室に異動・立ち上げをおこないました。管理栄養士の知識を活かし、当社の加工内容や商品、関連情報をご紹介します。

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