焙煎機による焙煎大麦の仕上がりの違い
当社では麦茶に使用される焙煎大麦の製造、受託加工をおこなっており、焙煎設備を多数所有しています。焙煎機にはいくつかの種類があり、大きさも異なります。焙煎機の違いによる仕上がりの差があるのか、それぞれの焙煎機にはどんな特徴があるのか。今回は焙煎機の中でも「大麦」に関わる焙煎機を中心にご紹介していきます。
【焙煎機の種類について】
もともと大麦専用の焙煎機は発売されておらず、「コーヒーロースター」を代用し、各社麦茶用大麦の焙煎をおこなっていました。当社の焙煎機についても、各機械メーカーから購入し、焙煎大麦の製造に最適になるようカスタマイズしています。
大麦の焙煎に使用されている焙煎機について、大きく分けると3種類あります。まず1つ目は「砂煎焙煎機」です。直火釜の中に熱した砂(熱媒体)と原料を入れて焙煎します。遠赤外線効果により最も膨化しやすいですが、出来上がり品に砂が付着していることが多いです。熱媒体として「砂」の使用が主流でしたが、現在は炭酸カルシウムなどで代用されているケースもあります。
2つめは「熱風焙煎機」です。バーナーから発生させた熱風で焙煎します。熱風の温度や風量を調節することで熱量をコントロールすることができます。そのため、高温短時間焙煎、低温長時間焙煎のどちらも可能で、仕上がりの幅が広がります。
3つめは「直火焙煎機」です。直火を直接当てることで焙煎します。製品と火の距離が最も近いため直火独特の風味があり、堅煎りの商品に適しています。熱量のコントロールが難しいため、高度な技術や経験が必要とされています。
①砂煎焙煎機 | 【連続式】 直火釜の中に熱した砂と原料を入れて焙煎させる。 |
膨化しやすい。 熱コントロールが難しい。 |
---|---|---|
②熱風焙煎機 | 【バッチ式/連続式】 バーナーから発生された熱風により焙煎させる。 |
熱コントロールが可能。 異物混入の恐れが低い。 |
③直火焙煎機 | 【バッチ式】 直接火をあてて焙煎させる。 |
直火独特の風味がある。 堅煎りのみ製造可能。 |
【焙煎機の違いによる焙煎大麦の分布】
麦茶に使用されている焙煎大麦の場合、味や香りが大切なポイントになり、受託加工依頼時にも何を重視されたいか、ご要望をお伺いしています。またペットボトル飲料向けの場合、抽出効率や抽出液の色(水色)も考慮されています。そのため、大麦を焙煎する際の管理指標として「焙煎度合(L値)」「膨化度合い」などが用いています。
■補足:L値とは
焙煎度合いの指標については、色明るさを数値で表す「L値」を用いています。L値は0~100まであり、0に近づくほど黒く、100に近づくほど白くなります。そのため、数値が小さくなるほど、焙煎度合いが強いことを表しています。
焙煎大麦の味や香り、水色について、使用する原料の品種や産地も影響しますが、焙煎する機械の種類や焙煎条件の違いも大きな影響を与えています。焙煎度合いと膨化度合いを軸に取り、各焙煎機で製造可能な範囲を下図に示します。
焙煎度合いについては、各機械とも温度や焙煎時間を変更することで調整が可能です。一般的には焙煎色が濃い方が香ばしさと苦みが強くなり、焙煎色が薄い方が焙煎臭は弱く、麦の甘みが残りやすくなります。
膨化度合いについて、砂煎焙煎機は遠赤外線効果で大麦内部まで火が入り膨化しやすいため、「膨れタイプ」の製造に向いています。一方直火焙煎機は膨化しづらく、堅煎りタイプの製造に向いています。熱風焙煎機は、熱風の温度や風量などの焙煎条件を調整することで、幅広い商品の製造が可能です。官能検査時の水色について、膨れタイプの方が濃く、堅煎りタイプの方が色が薄くなりやすい傾向です。商品の購入、受託加工時にはこのあたりの情報をお伺いし、ご要望に合った商品や焙煎機を選定し、ご案内しております。
当社の焙煎機で製造した焙煎大麦商品のうち何点かを上図にプロットしました(原料大麦の品種・産地、使用した焙煎機はそれぞれ異なります)。商品写真と官能検査時の水色写真より、焙煎色や膨れ方の違い、抽出液色の違いをご参照ください。
A) 焙煎外国産六条大麦NL-38
外国産の六条大麦をバッチ式熱風焙煎機で焙煎加工した商品。 |
|
B) 焙煎裸麦TS-27
外国産の裸麦をバッチ式直火焙煎機で焙煎加工した商品。 |
|
C) 焙煎国産六条大麦NL-27a
国産の六条大麦を蒸し乾燥させ、バッチ式熱風焙煎機で焙煎加工した商品。 |
|
D) 焙煎外国産六条大麦FL-48
外国産の六条大麦を流動式熱風焙煎機で焙煎加工した商品。 |
当社の焙煎大麦商品については、商品案内ページをご覧ください。
受託加工をご依頼の場合、原料特性や加工数量を考慮し、それぞれの工場へとご案内させていただきます。ご興味がある方は、是非お問い合わせフォームよりご相談ください。