微粉砕コラム

CRUSHED COLUMN

2022年微粉砕試作ランキング

当社では年間200件近くの試作開発をおこなっています。既存のお客様からの新規開発や、商品リニューアルのご相談、新規のお客様からのお問い合わせなど、試作開発をおこなう経緯はさまざまです。2022年も終わりに近づき、今年の試作依頼内容を振り返ったところ、微粉砕関連の試作依頼が最も多かったです。
今回は2022年にご依頼いただいた試作内容について、目的別・原料別などランキング形式でご紹介していきます。当社へどのような目的で依頼されているのか、どのような加工内容が可能なのか、ご参考ください。

 

【目的別ランキング】

お客様から微粉砕の試作依頼をいただく際、どのような目的で微粉砕加工をされたいのか、その理由と用途についてご紹介していきます。

①飲料用途

粉末茶

粉末茶を目的にご依頼されるケースが多いです。茶葉をお湯を入れて飲む方法や抽出した飲料の場合、液体に抽出された栄養分のみしか身体に取り入れることができません。粉末茶の場合は、茶葉を丸ごと摂ることができ、水に溶けない不溶性食物繊維なども摂ることができます。茶葉の種類によっても異なりますが、細かさの目安として平均粒度20μm程度に細かくすれば、舌触りやのど越しはあまり気になりません。
ただし粉末茶は完全にお湯や水に溶けるわけではありません。完全に溶けるお茶を希望される場合は、スプレードライ製法をおすすめしています(残念ながら弊社ではスプレードライ設備を所有しておりません)。

②健康食品用途

サプリメント

健康食品には植物由来の原料が多く使用されています。サプリメント等に使用する場合、栄養素が濃縮されている方が使い勝手よく、抽出エキスや粉末乾燥品の形態で使用されています。
乾燥粉末品の場合、生のままでは食べづらい皮も丸ごと利用でき、皮には豊富な栄養素や食物繊維も含まれています。野菜・穀物の種類によっては、細かく刻む(≒粉砕)ことにより栄養素の吸収率が高まります。そのため、弊社への微粉砕加工の依頼が多くございます。

 

③その他食品用途

 
微粉末化をおこなうと、製麺・製菓・製パンなどの生地に混ぜ込んだり、他の素材と混ぜ合わせやすくなり、汎用性が高まります。焼き菓子やパンなどのように加工した粉末品を生地に混ぜ込み、さらに加熱処理する場合は問題ないですが、粉末品をそのまま食す目的で使用される場合、原料時点での微生物値を気にする必要があります。弊社では微粉砕加工後に殺菌処理をおこなうことが難しいため、必要に応じて微粉砕前の熱処理加工を推奨しています

 

【原料別ランキング】

お客様からの試作依頼やお問い合わせが多かった原料別ランキングについて、上位3位をご紹介します。

 

①茶葉類(ほうじ茶/緑茶/烏龍茶/ルイボスティーほか)

ほうじ茶茶葉

総務省家計調査によるとお茶類(リーフ茶)の日本国内消費量は減少傾向ですが、コロナ禍の影響で在宅時間が増えたこともあり、令和1年度はやや回復していました。弊社へもブレンド茶や水出し茶などに関するご相談もあり、粉末茶やラテ用途への加工依頼もやや増加しています。
また抹茶スイーツやほうじ茶スイーツなどお菓子や製パンにご使用されたいケースもあり、微粉末加工の試作を随時おこなっています。

②穀物(はと麦/もち麦/麦芽/焙煎米/オーツ麦ほか)

はと麦

近年は小麦製品の値上げが話題となっており、小麦粉の代替用途なのか、その他穀物の微粉末加工依頼が多くなっています。また引き続き「グルテンフリー」も人気のようで、小麦グルテンを含まない穀物の引き合いも多くございます。
微粉末加工品の用途としては、製パン、製菓、製麺など食品用途が多いですが、穀物ミルク(ライスミルクやオーツミルクなど)への仕様を検討されているケースもあります。

 

③食品製造過程で発生する残渣(乾燥物)

近年はSDGsの考え方が浸透したこともあり、食品製造時に発生する残渣を再利用したい、とご相談いただくケースも増えてきました。
直近であれば、ジュースやワインを製造時に発生する搾汁物の残渣乾燥物や果物ジャムの製造時に発生する柑橘類の皮の乾燥物などの微粉末加工の試作を実施しました。原料の種類や乾燥度合いによって結果は異なりますが、おおむね微粉末加工は可能でした。乾燥条件や乾燥させるまでの保管条件が悪いと原料の微生物値が高くなってしまうため、見本原料を頂戴した際に微生物値を測定し、事前に原料の状態を確認しています
 

【その他加工方法との組み合わせ】

微粉砕加工のみをご希望されるケースも多いですが、風味改善や殺菌目的などを考慮し、その他の加工と合わせてご依頼されることもあります。

①焙煎加工

当社設備のなかでもっとも焙煎設備の種類・台数が多く、原料の種類や用途により機械を使い分けています。当社での焙煎加工は穀物が中心ですが、葉物なども取り扱っています。原料特性や使用目的、加工数量に応じて、適切な焙煎機をご案内しています。通常は、微粉砕加工前に焙煎加工をおこなっています。「①香ばしさの付与、②微生物の減少、③含有成分の変化、④粉砕をしやすくする(砕けやすくなる)」などを目的に合わせて焙煎度合いを調整します

②蒸し乾燥+焙煎加工

穀物にはデンプンが多く含まれるため、蒸し加工によってデンプンを糖化させると穀物の甘みが引き出され、穀物をそのまま粉末化するよりも美味しく感じます。さらに焙煎加工を加えることにより香味が付与されたり、穀物がより柔らかく、粉砕しやすくなります。また加熱処理を加えることにより微生物コントロールが可能となるため、穀物粉末飲料を目的とした加工の場合、蒸し加工工程の追加をお勧めしています。ただし、蒸し加工のロットが2t~となるため、ご要望によっては弊社半製品のご利用をご案内しています。

その他、当社でおこなう加工方法にご興味のある方は、事業内容ページをご覧ください。事業内容

試作のご依頼や受託加工のご相談については、お問い合わせフォームより承っています。お気軽にお問い合わせください。お問い合わせ

コラムの監修者

岡本彩

岡本彩

京都グレインシステム株式会社 経営企画室
管理栄養士/ウェブ解析士

入社から3年間は営業部に所属し、育児休業を経て、経営企画室に異動・立ち上げをおこないました。管理栄養士の知識を活かし、当社の加工内容や商品、関連情報をご紹介します。

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