微粉砕コラム

CRUSHED COLUMN

微粉砕加工とフリーズドライ製法の違い

微粉砕加工やパウダー加工のご依頼をいただく際、「水に溶けるような粒度で加工して欲しい」「のどごしがよい粒度はどれぐらいか」とのお問合せをいただくことがあります。当社の微粉砕機を用いることでパウダー化すること(≒粉末茶)は可能です。しかしインスタントティーのように、水やお湯に溶ける粉末をご希望の場合、そもそもの製造方法(≒スプレードライ製法、フリーズドライ製法)が異なります。それぞれの製法の違いによる特性や原料の適性についてご紹介していきます。

【KGS気流粉砕機の特徴】

気流粉砕とは、空気を高速な気流渦にすることで原料同士が衝突、引きちぎられて粉砕する方法です。当社の微粉砕機は、高速回転ローターとブレードが旋回流を発生させ、旋回気流により粒子衝突が起こり、原料を粉砕加工させています。粉砕機内部に留まる時間が短く、機器内の温度が上昇が抑制されるため、原料成分に大きな損傷を与えることなく加工ができます。
粉砕時に他原料を投入しないため、純度100%の粉末品が回収できます。粉砕時に原料水分の損失があること、機械内部への滞留があるため、歩留まりは90%前後となります。原料にもよりますが、平均粒度が30μm程度になることが多く、水やお湯へある程度溶けますが、完全に溶けるわけではないので沈殿もします
また気流粉砕機と相性が悪い原料は、果物やにんにくなどの糖度が高い原料、コーヒー豆や大豆など油分が高い原料です。粉砕時に糖分や油分が影響し、ペースト化してしまったり、粉末加工後にダマになってしまいます。そのため、「水に溶けやすい」「糖分・油分が高い原料」は、スプレードライやフリーズドライでの加工が向いています。

 

【スプレードライ製法について】

スプレードライイメージ

スプレードライ製法とは、液体または液体・固体の混合物を気体中に噴霧し、高温の熱風を当てて急速に乾燥させて水分を飛ばし、乾燥粉体を製造する噴霧乾燥法のことです。出来上がった乾燥品はパウダー状となり、水に溶けやすい粉末となります。また製品ロスが少なく、回収率が高い製法です。糖度が高いものや油分が高いものも粉末化することが可能です。調整液の粘度が高いと噴霧させることが難しくなるため、デキストリンなどの賦形剤を混ぜてスプレードライをおこなっています。そのため、純度100%ではない粉末品も多くあります。また高温で数十秒処理するため、風味や香りが飛びやすい、というデメリットもあります。
高温処理せずに糖度や油分が高いものを粉末化したい場合、「フリーズドライ製法」が適しています。

 

【フリーズドライ製法について】

フリーズドライイメージ

フリーズドライ製法とは、真空凍結乾燥のことです。水分を含んだ固体または液体をマイナス30 ℃程度で急速に凍結させます。減圧して真空状態で水分を昇華させて、乾燥させる方法です。

■昇華とは
水は圧力が低い状態だと温度にかかわらず気体になります。食品が凍っている状態で十分に圧力を下げると、食品中の水分が固体(≒氷)から直接気体(≒水蒸気)に変化して、食品の表面から外部へ逃げていきます。

この作用によって食品中の水分だけを簡単に取り除くことができ、乾燥させることができます。出来上がり品は液体の場合は板状、食品の場合はそのままの形状を保っていることが多いため、粉末化させたい場合は、乾燥後に粉砕加工します。
熱を利用せずに製造できるため香りや風味が残りやすく、一般的なインスタントコーヒーはこの製法で製造されています。製造に手間がかかるので、スプレードライ製法よりもコストが高くなります

■それぞれの製法の違いと特徴

種類 KGS気流粉砕機 スプレードライ製法 フリーズドライ製法
製法 旋回気流により粒子衝突が起こり、原料を粉砕させる方法。 原料を気体中に噴霧し、高温熱風により急速乾燥させて水分を飛ばし、乾燥粉体を製造する方法。 原料を急速凍結させ、真空状態で水分を昇華、乾燥・粉砕させる方法。
特徴 ・原料成分の熱変性が起こりにくい
・水やお湯に溶けない(撹拌のみ)
・糖分や油分が高い原料の加工は難しい
・賦形剤(デキストリンなど)が混ぜる場合あり
・風味や香りが飛びやすい
・糖分や油分の高い原料の加工が可能
・お湯に溶けやすい
・大量製造が難しい
・風味や香りが飛びにくい
・糖分や油分の高い原料の加工が可能
価格 比較的安価 やや高額 高額

 

当社ではスプレードライやフリーズドライの設備を所有していないため、受託加工のご依頼は微粉砕機の加工が可能です。微粉砕機は奈良工場、旭川工場で所有しています。加工をご依頼の場合、原料特性や加工数量を考慮し、それぞれの工場へとご案内させていただきます。ご興味がある方は、是非お問い合わせフォームよりご相談ください。

コラムの監修者

岡本彩

岡本彩

京都グレインシステム株式会社 経営企画室
管理栄養士/ウェブ解析士

入社から3年間は営業部に所属し、育児休業を経て、経営企画室に異動・立ち上げをおこないました。管理栄養士の知識を活かし、当社の加工内容や商品、関連情報をご紹介します。

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