微粉砕コラム

CRUSHED COLUMN

微粉砕加工のメリットとは

近年、野菜パウダー、豆腐パウダー、フルーツパウダーなど「〇〇パウダー」といった、農産物を微粉砕加工した商品が多く出回っています。そのままでも食べることができる農産物(野菜・果物・穀物類など)をなぜパウダーへと加工するのか。そのメリットは、①加工用途の拡大②保存性・栄養性の向上③運搬性の向上④規格外品の活用などが挙げられます。農産物を微粉砕加工するメリットについてご紹介していきます。

【はじめに:農産物を粉末化する方法】

米粉や小麦粉のように原料をそのまま粉末化するケースもありますが、野菜類などは水分含有量が高いため、一度乾燥させて水分を飛ばしてから粉末化します。また粉末後に加熱をおこなわずそのまま食す場合も、微生物値を下げるため、加熱処理をおこなってから粉末化します。一度粉末化してしまうと、殺菌処理をおこなうことが難しいためです。米粉や小麦粉は、後工程で加熱して使用するため、生原料をそのまま粉砕しても問題ありません。

トウモロコシ加工イメージ

【メリット①:加工用途の拡大】

粉末化することで、他の素材と混ざりやすくなります。生地に混ぜ込み、製麺や製パン、お菓子などに活用することが可能です。また粉末化により液体に混ざりやすい(撹拌しやすい)ため、粉末調味料や青汁、粉末飲料などにも活用できます。
粉末品をさらに打錠加工しサプリメント、エクストルーダー加工によりスナック菓子と加工の幅が広がります。

  • 粉末茶

  • スナック菓子

  • サプリメント

【メリット②:保存性・栄養性の向上】

栄養イメージ

食品が腐敗するのは、微生物の増殖が主な原因です。微生物が増殖する要因として、「栄養素」「適性温度」「水分」が必要不可欠です。そのため、微生物の殖は、水分値が下がれば下がるほど疎外されていきます。粉末化をおこなう場合、前処理による乾燥(熱処理)加工、粉砕加工により水分値が下がります。そのため、水分値が下がることにより微生物の増殖が抑えられ、保存性の向上、貯蔵性の向上につながります。また水分を飛ばすことにより、粉末品には栄養素が濃縮されます。生のままでは食べずらい皮も丸ごと粉砕できるため、皮に豊増富な栄養素や、食物繊維も含まれています。野菜・穀物の種類によっては、細かく刻む(≒粉砕)ことにより栄養素の吸収率が高まります。

【メリット③:運搬性の向上】

野菜や果物の場合、約65~95%が水分です(例:レタス約95%、人参90%、じゃがいも約80%)。粉末加工品の水分値は5%前後(10%以下)のものが多いため、生の農産物に比べて運搬コストが下がります。また粉末品は運搬中の破損も少なく、運搬が楽です。
農産物を粉末加工する場合、できるだけ生産地の近くで乾燥させ、水分値を下げてから移送するとコストダウンにつながります。

【メリット④:規格外品の活用】

不揃いな人参

粉末化する場合、元の形状がわからなくなるため、大きさの不揃い品や傷物などの欠点がある原料も有効活用することができます。特に水分量が高い野菜や果物は、原料価格が非常に高くなるため、規格外品や栄養価の高い可食部以外(皮や種など)の利用が有効です。下記の通り、費用面においても、原料代が安い(≒市場価値が低い)規格外品や可食部分以外の活用がおすすめです。農産物の規格外品の活用に着目し、商品化を推奨されている自治体もあります。愛媛県農林水産研究所では「農産物の粉末化マニュアル」を作成され、研究報告などもおこなわれています。【愛媛県農林水産研究所HP

生人参100kgを人参パウダーにした場合
【条件】
・人参単価:@100円/㎏と仮定。
・生人参の水分値:90%(固形成分は10%程度)と仮定。
水分損失や各製造工程でのを考慮すると、生人参100㎏から回収できる人参パウダーは約10㎏しかありません。したがって、人参パウダーの原料代だけで@1000円/㎏と生原料の10倍必要です。原料代のほか、加工賃(乾燥工程+粉砕工程)、移送費、包装費…と製造原価がかかります。

 

当社の微粉砕加工の詳細については、微粉砕ページをご覧ください。乾燥品、乾物の微粉砕加工がメインとなりますので、生野菜の乾燥をご希望の場合は他社様をご紹介させていただきます。ご興味がある方は、是非お問い合わせフォームよりご相談ください。

コラムの監修者

岡本彩

岡本彩

京都グレインシステム株式会社 経営企画室
管理栄養士/ウェブ解析士

入社から3年間は営業部に所属し、育児休業を経て、経営企画室に異動・立ち上げをおこないました。管理栄養士の知識を活かし、当社の加工内容や商品、関連情報をご紹介します。

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