【試作品】α化米粉(アルファ化米粉)のご紹介
最近は小麦粉の価格高騰も後押しとなり、業務用米粉商品の需要が急増し、当社へも米粉関連のお問い合わせが増加しています。グルテンフリーの食事を選択する方が増えたり、食物アレルギーを持つ方や特定の食品に敏感な方もいます。こうした需要に対応するため、米粉を原材料とした商品はますます人気を集めています。
当社で現在レギュラー製造している米粉は「焙煎米パウダー」や「焙煎発芽玄米パウダー」のみですが、お客様からのご要望に応え「α化米パウダー」や「α化発芽玄米パウダー」の試作品を作成しました。今回はこちらのアルファ化米粉についてご紹介します。
【はじめに:アルファ化米粉とは】
日本米粉協会によると「アルファ化米粉とは、炊飯された米を加熱により急速乾燥させたアルファ化米を製粉した米粉」と定義づけされています。日本米粉協会HP(外部リンク)
お米の炭水化物は多糖類「デンプン」の形で含まれています。デンプンの形ではほとんど甘みを感じず、単糖類「グルコース」まで分解されると甘みを感じることができます。デンプンは分解酵素のはたらきにより、いくつかの段階を経て、グルコースへと分解されます。お米の場合は、米粒内に各種デンプン分解酵素をもっています。生米は硬く消化しにくいため(βデンプン状態)、水を加え加熱することによって、粘性のある糊となります(デンプンの糊化)。デンプンの結晶構造に水分子が入り込むことで、ミセル構造が緩んだ状態になる消化されやすくなります(αデンプン状態)。下図参照。
糊化したデンプン(αデンプン)をそのまま放置すると、ばらけた分子が再び規則正しく配列されます(β’デンプン状態=デンプンの老化)。再加熱すれば再びα化デンプン状態に戻りますが、急速乾燥させることでもα化デンプン状態を保つことができ、アルファ化米と呼ばれています。
■アルファ化米粉のメリット
①グルテンフリー
②微生物コントロールが可能
③吸水性が高い
④増粘剤や乳化剤として代用が可能。
⑤消化が良い
【従来のアルファ化米粉の製法とKGS製法の違い】
アルファ化米を製造するにはデンプンを糊化させる必要があるため、「加水(吸水)」と「加熱」の工程が必須となり、さらに微粉末加工もおこなうとアルファ化米粉が製造できます。アルファ化米粉の製法にはいくつか種類がありますが、特徴が出る主なポイントは2点あります。
1つ目は「加熱温度と時間」です。お米に十分な水を加えて加熱することでデンプンの糊化(α化)が進みますが、デンプン分解酵素の働きは40~60℃で活性化し、デンプンを糖へ分解します。そのため、高温短時間で加熱処理するよりも、じっくりと時間をかけて加熱する方が糖化が進み、お米の甘みを引き出すことができます。
2つ目は「微粉砕方法」です。微粉砕機には様々な種類があり、それぞれ特性があります。また米粉には「用途別基準」が定められています。その測定項目のうち「粒度」と「澱粉損傷度」は微粉砕機の影響が大きいです。米粉用粉砕機については農林水産省のWEBサイトでも紹介されています。
■KGS製法の場合
当社の場合、十分な水をお米に吸水させた後、横型蒸し機でじっくりとお米を蒸しています。十分に加熱することでデンプンの糖化を促し、お米の甘みを引き出しています。その後乾燥させ、気流式粉砕機で微粉砕加工しています。一般的に「気流式粉砕機」は粒度が細かいものの製造が可能で、他粉砕機に比べ熱の影響を受けにくく、損傷デンプン率も低い傾向があります。
【試作品のご紹介】
当社には蒸し乾燥ラインと気流式粉砕機を所有しているため、アルファ化米粉の製造は可能です。蒸し乾燥ラインが大型機のみを所有しているため加工ロットが大きいですが、一部のお米は蒸し乾燥米の状態で半製品として保管しているため、微粉砕機の製造ロットが合えば留型品として生産は可能です。今回はご紹介用に製造した試作品をご紹介します。
①α化米パウダー
北海道産の精白米を蒸し乾燥し、気流式粉砕機でパウダー化した試作品です。アルファ化しているため吸水性が高く、デンプンの糖化が進んでいるためお米の甘みが出ています。市販の米粉品と当社試作品で米粉パンを作り比べたところ、当社α化米パウダーで作った米粉パンの方が米粉の使用量が少なく、食感が柔らかくておいしいという評価が得られました。
十分に加熱しているため微生物コントロールも可能で、ライスミルクの原料としてご検討いただくことも可能です。
②α化発芽玄米パウダー
北海道産の玄米を発芽させた後、蒸し乾燥し、気流式粉砕機でパウダー化した試作品です。発芽玄米とは、玄米からわずかに芽が出たお米のことです。発芽が始まってすぐに止めた状態のため、玄米に含まれるビタミンB群やミネラル、GABA(γ-アミノ酪酸)も含まれており、栄養価が高いです。
当社の発芽玄米は微生物の発酵を抑えながら製造しているため、発芽玄米独特の臭いが低い商品となっています。