生薬原料を刻む理由とKGSで出来る加工
当社奈良工場では2017年に「医薬品製造許可(生薬の刻み加工)」を取得しているため、生薬の刻み加工や粉末加工の受託が可能です。(注:生薬の刻み又は粉末工程のみのため、GMP適用除外となります。) 今回は生薬がどのようなものか、なぜ生薬は刻んで使うのか、当社ではどのような加工が可能か、ご紹介していきます。
【はじめに:生薬とは】
生薬とは、動植物の部分・細胞内容物・分泌物・抽出物あるいは鉱物で、そのまま薬品として用いる、あるいは製薬の原料とするものです。基本的に薬(医薬品)として使われるものですが、中には食品として使われているものもあります。
植物は原料部位によっても薬用成分の含有量が異なるため、同じ植物でも部位(葉・茎・根など)によって生薬かどうか異なります。生薬は薬か食品かあいまいになりやすいため、厚生労働省で「医薬品として使うもの」「医薬品・食品どちらでも使えるもの」に分類されています。食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示(外部リンク)
①医薬品として使うもの
医薬品に該当する成分本質(原材料)については、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に掲載されています。リスト自体は定期的に見直しがされていますが、このリストに掲載されている生薬は「医薬品」として使用されます。いわゆる健康食品には使用することができません。なお、これらを薬理作用の期待できない程度の量で、着色・着香等を目的とした使用が明確である場合は、食品添加物として食品へ使用されるケースもあります。
【掲載例】
アロエ(部位:葉の液汁)、カッコン(葛の根)、ゴボウシ(ゴボウの果実)など
②医薬品・食品どちらでも使えるもの
医薬品に該当しない成分本質(原材料)については、参考として「医薬品的効能効果を標ぼ
うしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に掲載されています。一般的に、同リストに掲載されている生薬を食品に使用する場合は、食品として認識されやすいように、原則として基源植物名などを使用し、生薬名は使用しないように推奨されています。例を挙げるとハトムギの場合、生薬名は「ヨクイニン」、植物名は「ハトムギ」です。食品に用いる場合の原材料名は「ハトムギ」で記載します。
【掲載例】
アガリクス、アロエ(根・葉肉)、生姜、陳皮(みかんの皮)など
【生薬を刻む理由と方法】
医薬品や食品で使用される生薬ですが、植物由来の原料が多くあります。原料は中国産のものが多く、各原料産地で生産されています。原料生薬は適当な大きさに裁断・乾燥され、乾燥状態で市場に出回っています(原料の種類によっては、洗浄工程も経ています)。生薬は各業界でエキス抽出品や粉末品として使用されているため、前処理として「刻み加工」や「粉末加工」が求められています。
理由①:均一性の確保
適当な大きさに裁断されたままの原料では不均一のため、刻み工程を経ることで均一性を確保することができます。後工程の目的によって適切な大きさが異なるため、目的に合った大きさへと刻みます。
理由②:抽出効率の向上
刻み加工により原料の表面積が増加し、エキス抽出工程において有効成分をより効率的に抽出できます。原料の種類や抽出機械によっては、大きすぎると抽出効率が下がったり細かすぎると目詰まりを起こすため、適切な大きさへと刻み・粉末加工します。
【KGSで出来る加工内容】
当社では粗砕機や粉砕機、微粉砕機を複数所有しています。
■粉砕加工の場合
葉物~丸太状まで幅広い植物由来原料の粉砕加工が可能です。製造能力の異なる2台を所有するため、大ロット・小ロットどちらも対応できます。同じ機械でも粉砕設定を変えることで粒度の仕上がりが異なります。お客様のご要望に合わせて粒度設定を調整していきます。
▶加工例:焙煎トウモロコシ(丸粒)を粗く粉砕した場合
▶加工例:α化トウモロコシ(丸粒)を段階的に粉砕した場合
■微粉砕加工の場合
気流式粉砕を採用し、比較的熱が入りにくい方法で加工します。機械は分解洗浄が可能なため、衛生的に加工を行っています。硬い原料の場合は、粉砕機等で前処理をおこない、微粉砕機でパウダー加工していきます。
またパウダー後に殺菌処理を実施することは難しいため、弊社ではパウダー加工前に加熱処理することを推奨しています。弊社の場合、微粉砕加工前に「蒸し乾燥」や「焙煎加工」することで殺菌処理をおこなっています。
一部原料(はと麦、杜仲茶など)については調達のお手伝いも行っております。
受託加工と合わせてご興味がございましたら下記フォームよりご相談ください。