微粉砕コラム

CRUSHED COLUMN

粉末品の焙煎が難しい理由

「米粉を焙煎して欲しい」「野菜パウダーを焙煎して香ばしさをつけて欲しい」など粉末品の焙煎をご依頼されることがあります。しかし、機械でおこなう粉末品の焙煎は非常に難しく、粉砕前原料を焙煎してから微粉砕加工することをご案内しています。今回はなぜ粉末品の焙煎が難しいのか、についてご紹介していきます。

【焙煎が難しい理由①:焙煎ムラができやすい】

家庭調理で粉末品を焙煎したい場合(調理例:ブラウンソースを作る場合など)、フライパンに粉末品を投入し、焦げ付かないように弱火でかき混ぜながらじっくりと火を入れていきます。これらを大量かつ機械的におこなう場合、「均一に加熱できる」ことがポイントとなります。
焙煎機にもいくつかの種類があります。

砂煎焙煎機 直火釜の中に熱した砂と原料を入れて焙煎する
熱風焙煎機 ガスバーナーから発生した熱風により焙煎する
直火焙煎機 原料に直接火を当てて焙煎する

まず「砂煎焙煎機」ですが、熱媒体となる砂と焙煎したい粉末品が混ざってしまい、焙煎後にこれらを分別することが困難なため、粉末品の焙煎には適していません。
次に「熱風焙煎機」ですが、熱風を効率よく利用するため、焙煎機内部がドラム状になっているものが多いです。焙煎により粉末品の水分が蒸発するため、ドラム内部はやや湿った空気がこもります。湿気により粉末品がくっつきやすく、ダマになったり、焙煎ムラの原因となります。排気口より湿った空気を逃がすことも可能ですが、粉末品は軽いため、空気と一緒に粉末品が流れ出てしまう恐れがあります。そのため、粉末品の焙煎にはあまり適しておりません。
直火焙煎機」を使用する場合、フライパンで炒ることに最も近い焙煎方法です。均一に焙煎するため、定期的にかき混ぜる工程が必要となります。回転式のドラム型焙煎機であればある程度混ざりますが、湿った空気がこもりやすいため、ダマになる恐れがあり、焙煎ムラの発生が懸念されます。

【焙煎が難しい理由②:焙煎後の冷却が難しい】

焙煎後冷却の様子

焙煎品の品質保持のため、焙煎後には速やかに冷却する必要があります。焙煎後の冷却方法について、当社では左図のようなベルト式の冷却機を採用しています。
焙煎物を一定の厚さにならし、ステンレス製網またはパンチングステンレス帯板を張ったコンベヤ上を連続的に移動させています。コンベヤ下から空気を引っ張ることで放熱させ、焙煎物を速やかに冷却しています。網またはパンチング穴が空いているため、粉末品の場合は空気と一緒に引っ張られてしまい、粉末品の冷却には適しておりません
粉末品の冷却方法として空気搬送で冷却する方法もありますが、ベルト式冷却機より高価なこと、高温な粉末品を空気搬送で冷却するには高度な技術が必要なこともあり、現在は採用に至っておりません。

上記理由により粉末品の焙煎は難しいため、当社では「焙煎→微粉砕」の順で加工をご案内しています

【KGSの微粉砕機と衛生面】

殺菌効果を期待されて「微粉砕後に焙煎して欲しい」というご相談もございますが、当社では微粉砕工程の前後での微生物値が変化しないよう、衛生面に配慮して加工をおこなっています。

①微粉砕機の分解洗浄が可能

拭き上げ清掃のみをおこなう機械も多いですが、当社の微粉砕機は「分解洗浄」が可能です。基本的には製品毎に切替清掃をおこなっています。製品の製造が終わると、当社の清掃マニュアルに従って微粉砕機の各パーツへと細かく分解し、ブラシ等を用いて水洗いしていきます。各パーツの乾燥後、元のラインへと組み上げていき、最後にアルコール拭きをして仕上げていきます。機械の大きさにもよりますが、切替清掃には1~3日間かかります。細かな洗浄をおこなうことで、他原料とのコンタミ、機械による汚染を防いでいます。

②「FSSC220000」を認証取得

当社奈良工場では国際的な食品安全システム認証規格「FSSC22000」を取得しています。認証取得をしているのは奈良工場のみですが、各工場より1名以上が食品安全チームに所属しています。食品安全チームでは、衛生管理やハザード分析に関する事項について、社内の中心となって取り組んでいます。月に1回会議をおこない、自社独自の食品安全マニュアルに基づき、5Sパトロールや工場内の衛生基準の順応状況の確認、ルールの見直しをおこないます。各工場の情報を会議でも共有し、「FSSC22000」を認証取得した奈良工場と同等の衛生管理をおこなっています。取り組みの詳細

当社の微粉砕加工の詳細については、微粉砕ページをご覧ください。
現在は、「奈良工場」「旭川工場」にて微粉砕ラインを所有しています。受託加工をご依頼の場合、原料特性や加工数量、微粉砕前後の工程を考慮し、それぞれの工場へとご案内させていただきます。ご興味がある方は、是非お問い合わせフォームよりご相談ください。

コラムの監修者

岡本彩

岡本彩

京都グレインシステム株式会社 経営企画室
管理栄養士/ウェブ解析士

入社から3年間は営業部に所属し、育児休業を経て、経営企画室に異動・立ち上げをおこないました。管理栄養士の知識を活かし、当社の加工内容や商品、関連情報をご紹介します。

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