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食品の加熱処理の豆知識
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「蒸す」の特徴とメリット

「蒸す」の特徴とメリット

食材を加熱する方法には、「焼く」、「茹でる(煮る)」、「蒸す」という方法がありますが、最近、「蒸す」という加熱方法が注目されています。
食材を調理する時には食材や料理の種類によって加熱の目的が異なり、どの方法が良いのかを選択することになります。

「焼く」という加熱処理は、焦げることによる香ばしさという風味をつけると共に食材の繊維質を変性させることで食感を変化させることにあります。
焼くことで、食材の水分が蒸発したり漏出したりするために、食感は少し硬めに変化することになります。
それに対して、「茹でる」及び「蒸す」という加熱処理は、食材の水分を逃がさないようにする、むしろ、食材に水分を付与することで柔らかくする加熱方法になります。
食感に対して同じような効果を与える「茹でる」と「蒸す」という加熱処理方法の差は何処にあるのでしょうか?

1. 肉を蒸すメリット
肉類の場合には、肉に含まれる旨味成分を活かすことが重要になります。
旨味を逃がさないようにするためには、表面が焦げる程度に焼いて内部から旨味が逃げ難くする壁のようなものを形成するのが最も簡単な方法です。
シチューやカレーのように煮込む料理の場合でも、先ず表面を焼いて硬くすることによって肉汁が外に出難くする調理方法が選択されます。

料理の種類によっては、「焼く」・「煮る」の方が美味しく頂けるということはありますが、蒸すことによって得られるメリットもたくさんあります。
肉類を蒸すという加熱方法には、表層にある肉の余分な脂肪を落とし肉のタンパク質を味わうことが出来るというメリットがあります。
大まかな脂肪は除去されていますので、冷めた状態でも脂肪分を気にせずに食べることが出来るというのも有効です。

 

1-1 肉を焼く調理法の問題点
肉類は野菜と異なり脂肪分が多い食材です。
肉の脂肪、いわゆる、脂身は甘みがありますので肉のタンパク質には無い味わいが出ますが、固化した脂身が塊で存在すると口当たりが悪くなります。
肉類を焼いて食べる場合には、料理の温度が下がる前に食べた方が美味しく頂けるというわけです。
蒸した肉は表層の余分な脂が落ちていますので、冷めた状態、極端には、冷やした状態でも肉の旨味を味わうことが出来ます。

 

1-2 肉を茹でる(煮る)調理方法の問題点
「茹でる」という加熱方法では大量のお湯に接触しているために、肉の旨味成分がお湯側に流出してしまいます。
スープやシチューのように茹で汁に味を付けて煮汁ごと食べる料理であれば問題ありませんが、肉のタンパク質を味わうためには「茹でる」という加熱方法は向いていないのかもしれません。
もちろん、煮汁が浸みこみ柔らかくなった肉は別の意味で美味しく頂くことが出来ますが、「蒸す」という調理方法の方が肉本来の旨味を味わうことができます。

 

2. 野菜を蒸すメリット
野菜を焼くことによって水分を蒸発させることで旨味を凝縮した野菜を食べることが出来ますが、水分が減少する分だけ繊維質が歯ごたえを悪くするというケースもあります。
一方で、茹でたり蒸したりする加熱方法では、野菜の水分を保持しながら、野菜の持つ酵素によって旨味や甘みを増加させる方法です。

食材を茹でたり蒸したりする加熱処理の共通の目的は、
食材に含まれる繊維質を柔らかくすることで食感を良くする、
食材に付着している細菌や寄生虫の卵を殺す、
苦味やえぐみなどの余分な味を排除する、
などが挙げられます。

「茹でる」と「蒸す」という加熱方法を比較すると、茹でる際に調味料で味付けする、いわゆる、「煮る」という加熱処理によって濃いめの味付けをすることが出来るというのが茹でる場合のメリットの一つとして挙げることが出来ます。 しかし、大量のお湯で加熱する「茹でる」という方法では苦味やえぐみといった余分な味は排除できるかもしれませんが、水溶性のビタミンやミネラルもお湯の中に逃げてしまいます。
そこで、注目されているのが「蒸す」という加熱方法です。

 

2-1 野菜を「蒸す」という加熱方法の優位性
家庭で蒸すという加熱処理を行う場合、蒸籠(せいろ)や蒸し器の下部で湯を沸かしてその蒸気が蒸籠を通過する際に食材に熱を通すことになります。
大量のお湯と接触することによる栄養素の漏出が多い「茹でる」という加熱方法と異なり、「蒸す」という加熱方法では蒸気が食材に熱を伝えます。
食材に含まれる繊維質を柔らかくする、加熱による殺菌を行うという効果を残し、大切な栄養素の漏出を最小限に抑えることが出来る加熱方法が「蒸す」という方法です。

蒸籠や蒸し器の内部は常に水蒸気が飽和状態ですので、食材から水分が蒸発することが無く食材が脱水によって硬くなることを防ぐことが出来ます。
さらには、熱が繊維質に伝えられることによって柔らかくなるという効果があります。
加熱初期には食材表面で水蒸気が凝固しますので、表層付近に存在する苦みやえぐみといった余剰の味成分はある程度が除去されます。
食材に十分な熱が伝搬された後は、水蒸気の凝固が発生しなくなり栄養素の漏出も止まります。

 

2-2 素材の味が損なわれない蒸し調理!
食材を加熱する方法には、「焼く」、「茹でる(煮る)」、「蒸す」という方法がありますが、
最近、「蒸す」という加熱方法が注目されています。
食材を調理する時には食材や料理の種類によって加熱の目的が異なり、どの方法が良いのかを選択することになります。

「焼く」という加熱処理は、焦げることによる香ばしさという風味をつけると共に食材の繊維質を変性させることで食感を変化させることにあります。
焼くことで、食材の水分が蒸発したり漏出したりするために、食感は少し硬めに変化することになります。
それに対して、「茹でる」及び「蒸す」という加熱処理は、食材の水分を逃がさないようにする、むしろ、食材に水分を付与することで柔らかくする加熱方法になります。
食感に対して同じような効果を与える「茹でる」と「蒸す」という加熱処理方法の差は何処にあるのでしょうか?

 

3. 産業における「蒸す」という加熱処理
「蒸す」という加熱方法は家庭では良く行われる方法ですが、産業レベルで行うにはかなり大がかりなものとなることが多くなります。

最初に必要になるのが巨大な蒸し鍋ですが、素材を重ねて詰め込むと素材と蒸気との接触面積が低くなってしまいますので、素材を平面に並べられる容器が必要になります。
効率を考えて連続的に蒸すのであればベルトコンベヤなどを使用することになりますが、蒸気が充満したトンネルの中を流れる間に食材を蒸し上げることになります。
蒸し時間はベルトコンベヤのスピードとトンネルの長さで決まりますので、蒸す時間を十分に取るためには長いトンネルが必要になります。

さらに、使用する蒸気は食材に直接触れるわけですから、危険な物質が含まれていることはもちろん、設備由来のさびやゴミが蒸気に混入するようなことがあってはいけません。
水に含まれているカルシウムやマグネシウムなどが多い硬水では、蒸気を発生させるボイラーの缶内や配管にスケールという形で析出してしまいます。
スケールの付着は熱効率が悪くなるだけでなく、設備の腐食や損傷を招く恐れもあります。
通常は、ボイラーを安全に運転するために、スケールの析出や設備の腐食を防止するための維持管理も必要になります。

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