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食品の加熱処理の豆知識

食品の加熱処理の豆知識

食品に対する加熱処理は、我々の生活において欠かすことのできない技術です。
焙煎という加熱処理はそのうちの一つですが、食品を安全かつ美味しく頂くために食品原料は様々な形で加熱処理されています。
一般家庭における加熱処理から産業レベルの加熱処理に至るまでを解説いたします。

1. 家庭での加熱処理
スーパーマーケットで買ってきた食材は、「茹でる」、「煮る」、「蒸す」、「焼く」、「炒める」、「炒る」など、食材の特性に合わせて加熱処理されて食卓に並びます。 時には、電子レンジで「チン」する加熱方法もあります。
もちろん、サラダや刺身のように新鮮な食材を加熱せずにそのまま食べることもありますが、大半は何らかの加熱処理が施されます。
食品に対する加熱処理の目的は、殺菌と調理という二つに大別されます。

 

1-1 殺菌を目的とした加熱
天然界には多種類の微生物が存在し人間はそれらの微生物と共存して生活しています。
微生物の力を利用して食品を加工する場合もありますが、食品が食べられなくなる腐敗という悪影響を及ぼすこともあります。
食品には多かれ少なかれ食品衛生法で定められた範囲内で微生物が付着していたり混在していたりします。
直ぐに調理しない食材は冷蔵庫などの冷暗所で保管されますが、微生物の増殖が抑えられるだけで微生物が死滅するわけではありません。
これらの食材や加工食品を食べるにあたって、食品中に存在する微生物を安全なレベルまで減少、あるいは、死滅させるために加熱するということになります。

 

1-2 美味しく食べるための加熱
直接食べると美味しいと感じられない食材は、「茹でる」、「蒸す」という加熱処理によって、繊維を柔らかくして解したり苦みやえぐみを緩和したりする熱処理が行われます。
さらに、調味料を使用して食材の持つ味を際立たせるための「煮る」という熱処理もあります。
また、加工した食品の水分を増やさずに加熱するために、「焼く」や「炒める」という熱処理が行なわれることもあります。
これらは、全て食材を美味しく食べるための熱処理です。
さらに、人間は食品を食べる際には、味だけではなく匂いが重要な因子となるケースもあります。
それが、「炒る」という加熱処理です。
ゴマや大豆を「炒る」ことで、食材に香ばしい風味をつけることが出来ます。

 

2. 食品加工産業における加熱処理
商業目的で流通されている食材や加工食品も、家庭で行われる場合と同じ目的で加熱処理が施されているものが多数存在します。
消費者に加工食品を提供するにあたって、企業が最も注意するのが殺菌と風味、さらには、食材に含まれている栄養素を損なわない加熱処理です。

 

2-1 産業レベルで行われる殺菌目的の加熱処理
家庭で行われる加熱処理による殺菌は、万に一つ加熱が不十分で食中毒が起こったとしても社会的な問題になることはありません。
しかし、企業が提供する加工食材が消費者の手に渡ってから食中毒の原因になるということは起こってはならないことであり、それを定めているのが食品衛生法という法律です。
各企業は食品衛生法で定められた基準を満たすように加熱処理を行う義務があります。
総菜や弁当などのスーパーマーケットやコンビニで販売される調理食品だけでなく、乾物食材、各種調味料や乳製品、さらには、小麦粉などの紛体の食材など、およそ消費者が入手できるすべての加工食品や食材は、加熱処理を中心とする殺菌工程が含まれています。

加えて、提供する企業が加工食品や食材の特性に合わせて定めた消費期限の範囲内では、流通中に微生物が増殖して食品衛生法の基準を超えることも許されません。
ただし、生で食べる可能性のある野菜や果物などは加熱することが出来ませんので、別の方法で殺菌することになります。

 

2-2 産業レベルでの加熱処理の注意点
企業が提供する加工食品は消費者が美味しく食べることが出来るということは必須条件です。
普通は美味しくなければ消費者が購入することはありませんので、当たり前の話です。
当然ながら、加熱すればするほど食材に含まれている微生物の数は減少し、食中毒のリスクは低下します。
しかし、過度の加熱処理は食材の持つ栄養素や美味しさを奪うことになります。
企業が提供する食品は、基本的には常温もしくは低温で流通しています。
すなわち、工場から出荷する際にはほとんどの食品が常温もしくは低温の状態になっているということです。

一方、食材を美味しく食べるためには、低温長時間と高温短時間という2種類の方法から加熱処理方法を選択することになります。
どちらにしても、熱処理が終了した後には速やかに常温もしくはそれ以下の低温まで冷却することになります。
特に、高温短時間の加熱処理では栄養素や風味を損なわないために可能な限り短時間で冷却する必要があり、そこにはたくさんの起業ノウハウが存在します。
基本的には、温度のバラつきやむらが無いように混合する技術も重要です。
また、高温短時間の場合には高温で加熱処理した後に、室温まで冷却するために時間を如何に短くするのかというのも重要な技術になってきます。
ほとんどの企業は機械を使って大量に熱処理を行いますので、簡単なことではありません。食材を提供する企業では食品衛生法に定められた基準を満たしながら、栄養素と風味を損なわないようにするために、技術の向上を目指して研鑽しているというわけです。

 

3. 「焙煎」という熱処理
産業界での「焙煎」という熱処理は、家庭では「炒る」という熱処理が該当します。
ゴマや大豆を炒ることで香ばしい風味が付加されることになります。
また、玄米茶に含まれている玄米や麦茶の大麦、あるいはコーヒー豆などは飲料にする際に香ばしさを付与するために「焙煎」という操作が行われています。

「焙煎」という熱処理では、食品に香ばしさと苦味というテイストを付加します。
香ばしい香りは香気成分ですので、加熱処理した後の冷却に時間をかけるわけにはいきません。
また、香ばしさと共に付加される苦味は糖質を利用した褐変反応を利用しますが、冷却に時間をかけると褐変反応が進み苦味が強くなると共に色も褐色から黒っぽい色へと変化してしまいます。
もちろん、強い苦味を付けたいときには強く加熱しますが、「焙煎」という熱処理では常温に戻す冷却工程のコントロールが加熱工程と共に、香りと味を決定する重要な工程となります。

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