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食品の加熱処理の豆知識
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乾燥の特徴とメリット

乾燥の特徴とメリット

「乾燥」という加熱処理は、一般家庭ではあまり行わない方法かもしれません。
しかしながら、台所を覗いてみると乾燥させた食品、いわゆる、乾物という食品はたくさん存在し、人の食生活に大きく影響しています。
乾物というのは食材から水分を除去し、保存性を良くしたり旨味を付加させたりするという一種の加熱処理食品です。
一般家庭で実施される「乾燥」というと、「天日干し」という方法がありますが、乾燥シイタケなどを自分で造っているという人もいるかもしれませんし、スライスした野菜や果物を乾燥させて野菜チップや果物チップなどを作っている人もいるかもしれません。

生の食材から乾物を自分で造る場合は少ないかもしれませんが、販売されている乾燥した食品は多くの人が利用しています。
というのも、水分が減少することにより、保存性が良くなるだけでなく甘みが濃縮されたり旨味が増加したりするというメリットもあるからです。
また、乾物を購入するということはその乾物を提供する企業や店舗が存在するわけですが、流通ということを考えると保存性や味の向上以外にも物流コストを抑えることにつながるという産業上のメリットもあります。

1. 保存性の向上
生物が生きていくためには水が必要であり、日常的に食べている食材である野菜や果物、肉類には大量の水分が含まれています。
水分を必要とするのは高等生物だけでなく、腐敗菌と呼ばれる細菌やカビなどの微生物にとっても水分は重要な因子です。
水分が存在しない食品はたとえ栄養素が豊富に存在していても、微生物といえども簡単には増殖することが出来ません。

乾物と呼ばれる乾燥処理をした食材は、新鮮な食材から水分を除去することで微生物の増殖が抑えられ、保存性が向上するというメリットがあります。
新鮮な食材は冷蔵庫に入れて保管されますが、低温で保管したとしても数日間しか安全に美味しく食べることが出来ません。
ところが、乾燥させた食材は常温で保管されていても月単位での保管が可能になり、使用前に水や湯に浸漬するだけで使うことが出来ます。

 

2. 食味の向上
食味の向上という「乾燥」のメリットの実例としては、干しシイタケや切り干し大根、干しイモなどが日本的な食材ですが、干しアワビや干しナマコといった乾燥させることによって旨味が向上する中国の食材もあります。
これらの食品をイメージすると分かるように、天日乾燥に代表される穏やかな加温による乾燥ということが出来ます。 天日干しということを考えると、魚の保存性を上げると共に旨味が増加する干物なども残留水分が多めの乾物ということになります。
魚の干物には焼いたらすぐに食べることが出来るように味付けをしたみりん干しもありますし、生の時の食感を大きく崩すことが無いように半生の状態で乾燥させた生干しといったものもあります。
これらの乾燥食品は、適度な温度を加えることによって、酵素が活性化してタンパク質や糖質の分解が促進されるという効果で旨味がアップします。
もちろん、酵素が機能するためにも水分が必要ですが、天日乾燥のようにマイルドな条件の場合、乾燥するまでの反応であっても旨味や甘みが増加する時間は十分あります。

 

3. 食品の乾燥方法
乾燥することによって別の食感や味になる乾物もあれば、水や湯で戻した時に元の状態に戻すことが出来る乾物というものもあります。 また、干物や干しシイタケのように、乾燥することによって保存性だけでなく旨味が向上するケースもあります。 従って、乾燥した食品をどのようにしたいのかという目的に応じて乾燥方法も変わってきます。
乾物と呼ばれる乾燥処理をした食材は、新鮮な食材から水分を除去することで微生物の増殖が抑えられ、保存性が向上するというメリットがあります。
新鮮な食材は冷蔵庫に入れて保管されますが、低温で保管したとしても数日間しか安全に美味しく食べることが出来ません。
ところが、乾燥させた食材は常温で保管されていても月単位での保管が可能になり、使用前に水や湯に浸漬するだけで使うことが出来ます。

 

1-1 自然乾燥
これまでに何回か出てきた天日乾燥や陰干しと呼ばれる方法が自然乾燥です。
時間と手間、さらには、広げておくための場所が必要になりますが、乾燥のためにかかるコストが低い方法です。
また、温度条件がマイルドですので、乾燥中に食品内の酵素が作用することで旨味や甘みがアップさせることも可能です。
魚の干物や干しシイタケ、干瓢などを造る際に使われる方法です。
広い場所が必要であることからも分かるように大量生産には不向きで、天候の影響を受けやすいこともあり安定した品質の製品を作るためには経験とノウハウが必要であると言えます。

 

1-2 人工乾燥
産業的に大量生産するためには、天候に頼るのではなく人工的に水分を除去する必要があります。
もっとも一般的なものは強い熱源を準備する乾燥方法になりますが、食品に含まれる栄養素や熱による変性を受けやすい食品の乾燥には天日乾燥に近い低温乾燥や真空凍結乾燥、あるいは、加圧乾燥などを適用するケースもあります。

 

1-2-1 熱風乾燥と低温乾燥
熱源で発生する熱を風で送り出す、すなわち、熱風を発生させて、食品に吹きかける方法です。
簡単な装置で乾燥時間は短縮できるという点がメリットですが、食品の中心部と内部で乾燥程度に差が出来て、外側が収縮して硬くなるというデメリットもあります。
熱が成分に及ぼす影響を抑えたいときには、時間はかかりますが低温乾燥を採用する場合もあります。
乾燥した20℃~30℃の空気を吹き付けますので、栄養素の破壊が少なく野菜や果物の乾燥に使用されるケースがあります。
脂肪の多い魚を干物にする場合にも、酸化を避けるために低温乾燥を用いる場合があります。

 

1-2-2 噴霧乾燥
液状の食品を液滴にして熱風と共に缶の中に吹き出すことによって瞬間的に水分を除去する乾燥方法で、粉末状に乾燥されます。
コーヒーの粉末やスキムミルクを造るときに使われる乾燥方法です。
熱による食品の劣化は少ないですが、出来る粉末量に対して大きな体積が必要になり、装置が大きくなってしまうことがデメリットとなります。

 

1-2-3 流動層乾燥
粉末になった食品をバインダーと共に気流中に浮遊させることで、顆粒状にする乾燥方法です。
多種類の粉末を均一に含む顆粒を造ることが出来ますので、オールインワンのスープやコーヒー粉末を造るのに便利な方法です。
多孔質の顆粒になっていますので給水しやすく、お湯にさっと溶けるのでスープやコーヒー類の加工に向いています。

 

1-2-4 ドラム乾燥
高温に加熱した金属製のドラム上にペースト状の食品を塗布して、ドラムを回転させながら乾燥させて乾燥したものを掻き取って回収する乾燥方法です。
乾燥後に粉砕したり篩にかけたりする必要がありますが、噴霧乾燥に比べると低コストで粉末を造ることが出来ます。
ちなみに、噴霧乾燥よりも熱がかかっている時間が長くなるので、熱による成分変化は噴霧乾燥よりも強くなります。

 

1-2-5 真空凍結乾燥
食品を凍結させた後に、高真空条件下で氷を水蒸気に変えて揮発させる乾燥方法です。
食品の栄養素をほぼ完全に残すことが可能であると共に、給水させたときの復元性に優れています。
インスタント食品の具材などの乾燥に適した方法ですが、乾燥コストが高く完成品そのものが多孔質になっており脆くなってしまうということがデメリットです。

 

1-2-6 加圧乾燥
密閉容器中で高温加圧した状態から急激に常圧に戻すことによって、瞬間的に水分を蒸発させる乾燥方法です。
膨化食品と呼ばれる雑穀パフなどの製造に使用される乾燥方法です。
馴染み深いものでは、米を加圧乾燥させた「ポン菓子」があります。
他にも、シリアル食品やチョコレートの食感付与に利用されることもあります。

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