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食品の加熱処理の豆知識
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粉砕の特徴とメリット

粉砕の特徴とメリット

粉砕というのは、漢字にある通りで「砕いて粉にする」という加工方法であり、様々な産業において利用されますが食品加工分野での利用でもよく使用される加工方法の一つです。
ここでは、食品産業における粉砕を中心に説明していきたいと思います。
身近なところで粉というと、小麦粉や砂糖、塩などの粉末調味料、胡椒や唐辛子などの香辛料など、台所を覗くと様々な粉体を見ることができます。
レギュラーコーヒーを入れるときに使うコーヒー豆も、粉砕して粉にしてから抽出して飲みます。
粉、あるいは、粉末という文化は我々の食生活における調理の幅を広げ、粉砕という加工技術は我々の生活を豊かにしてくれる技術の一つです。

粉砕とは?
粉砕というのは、少し難しい言い方をすると、「個体粒子に機械的なエネルギーを加え粒子の大きさを減少させ、新しい表面を生成したり表面積を大きくしたりする方法」ということになります。
粉砕によって得られる粒子は、大きさによって粉砕物(粗粉砕物)や粉末(あるいは、微粉末)と呼ばれます。
  • 粉砕物(粗粉砕物):食材の味と食感を残すことができる。表面積が小さい分だけ風味の保存性が向上する。
  • 粉末(微粉末):食材の消化吸収性を向上させることが可能です。また、様々な調理に利用することができます。
粉砕では原料に加えられる力、力の加え方、力を加えている時間によって、出来上がってくる粉末、あるいは、粒子の大きさをコントロールすることができます。
粉砕は「粗粉砕」と「微粉砕」という二つに大別されますが、食品産業では粉砕物の特性をどのように利用するのかによって使い分けられています。

 

粉砕するための機械は?
粉砕する機械は粉砕機ということになりますが、摩擦や圧縮といった物理的な力を原料に加え粒子の大きさをある程度揃える機械です。
一方で、食品産業における粉砕の目的は多岐にわたっており、粉末にする目的、用途に合わせて粉砕機のメカニズムも変わってきますので、粉砕機の種類も多岐にわたっております。
完成品である粉には、粒子の大きいものもあれば小さいものまでいろいろなサイズのものがあり、粉砕物をどのように利用するのかによって粉砕の程度が制御されています。
  • 粗砕機:原料を数ミリの塊に粉砕する
  • 中砕機:粉砕物の粒子を150μmから75μm程度に粉砕する
  • 微粉砕機:粉砕物の粒子を20μmから50μm程度に粉砕する
  • 超微粉砕機:粉砕物の粒子を20μm以下に粉砕する

 

目的に合わせた粉砕とは?
食品業界の粉砕加工で製造される粉砕物は、原料を荒く粉砕しただけの「粗粉砕」と150μm以下の粉末まで粉砕する「微粉砕」の二種類に大別されます。 ナッツ、コーヒーや香辛料のように、食材の持つ歯ごたえを残しながら食材の栄養素を利用したい、あるいは、原料中の香気成分を利用したいときには粗粉砕が利用されます。 一方、微粉末は、香気成分よりも原料の持つ栄養素や味を効率的に利用するとともに、調理に利用したときの加工性の幅を広げるために利用されます。

 

●粗粉砕
粗粉砕は、原料の食感を残すとともに微粉末に比べて表面積を小さくすることにより香り成分が減少するスピードを抑えることができるというメリットがあります。
例えば、クッキーに混合させたりトッピングとして利用されたりするナッツ類やドリップコーヒーに利用するコーヒー豆、麦茶のティーパックに使う麦、あるいは、唐辛子や七味唐辛子、胡椒などの香辛料などでは粗粉砕したものが利用されています。
徹底的に香気成分にこだわるときには使用する直前に粗粉砕ができるように、家庭用の調理器具としてミルが販売されているくらいです。
また、直接微粉末にすることが困難なときの前処理として使用されることもあります。
例えば、粗粉砕することで微粉末を製造するための粉砕機に投入しやすくする目的、あるいは、最終製品の粉末の風味を損なう可能性のある皮や胚芽といった不要物を除去する目的で使用されることもあります。

 

●微粉砕
微粉末まで粉砕すると、表面積が大きくなることによる保存中の揮発成分の飛散は否めません。
しかし、食べたときの消化吸収性がアップする、すなわち、原材料の持つ栄養素を効率的に利用することができるということが大きなメリットということができます。
さらに、粉体同士の混合が容易になるとともに水に混合するときに滑らかなスラリーになることで、」様々な調理に使用することができるようになります。

 

粉砕加工を利用するメリットの具体例
粗粉砕物や粉末というのは、我々の生活においてなくてはならない存在です。
台所を見渡すと、胡椒や唐辛子などの香辛料、ドリップコーヒーのような嗜好品として利用されるコーヒー豆、小麦粉や片栗粉などの調理用の粉末など様々な粉砕物や粉末を目にすることができます。
そこで、
粉砕物の大きさのコントロールにどのような意味、すなわち、どのようなメリットがあるのか?
粒子の小さい粉末にすることでどのようなメリットがあるのか?
ということの一例を具体的にご紹介させていただきます。

 

●小麦粉
小麦を粒子のまま、あるいは、外皮と胚芽を除いた小麦粒子のままで食材として使うことはほとんどありませんが、粉砕加工によって小麦粉とすることによってパンやドーナツ、あるいは、クッキーなどの原料としたり、お好み焼きやたこ焼きの生地にしたり、グラタンやクリームコロッケのもととなるベシャメルソースやクリームソースに加工したりすることもできます。
また、先に記述する米粉を混合することによって、小麦粉を使った食品であるパンやドーナツにもっちり感を付与することも可能です。

 

●米粉
米の表皮と胚芽を除いた、すなわち、精米した白米に水を加えて加熱処理するとご飯になります。
ご飯はご飯で日本人の主食としておいしくいただくことができますが、米を粉砕して微粉末にした米粉はベトナムのフォーや生春巻きに使用するライスペーパーといった具合に全く別の食品に加工することができます。
使用する米の種類を変えることによって用途は変わり、うるち米を使用した上新粉やかるかん粉、もち米を使用した白玉粉、餅粉、道明寺粉、寒梅粉、微塵粉など和菓子に使われる米粉もあります。
また、別の粉末原料であるタピオカ粉や片栗粉と混合することによって、使用時の食感を変えることも可能です。
また、米でんぷんで造られているタンパク質を含まない米粉は、アレルギー対策のためのライスミルクやダイエット食品としてのライスシロップの原料として期待されています。

 

●コーヒー豆
飲料であるコーヒーを抽出するために利用されるコーヒー豆は、粗粉砕を代表する粉砕物の一つです。
コーヒー豆からコーヒーを抽出するためには、表面積を大きくすることで抽出効率をアップさせる必要があります。
しかしながら、抽出効率のみに注目して粒子が小さくなりすぎると、コーヒー豆に含まれる雑味も抽出されることにつながり味わいが低下する可能性もあります。
すなわち、コーヒー豆の粉砕は、雑味を抑え風味をしっかり抽出することができる理想的な粉砕のコントロールが重要であるというわけです。
また、粉砕物が細かすぎると抽出終了時に固形物を除去するろ過において、フィルターが目詰まりするということもありますので、粉末になるまで粉砕したものは使用することができません。

 

●唐辛子
小瓶に入っている香辛料としての唐辛子は、粗粉砕物が使用されます。 粉砕によって表面積が大きくなることで、唐辛子の中にあるカプサイシンが味覚と接触しやすくなりより辛く感じることになります。
しかし、微粉末にして表面積が大きくなりすぎると、口の中に入れた直後に強い辛さを感じることになります。
すなわち、粗粉砕することで辛さがコントロールされているということになります。
咀嚼によって口の中で砕かれれば辛いと感じることがあるかもしれませんが、粗粉砕された唐辛子は料理に適度な辛さを付与するとともに消化器から吸収されるカプサイシンが血行を向上させる効果が期待できるというわけです。
他方、辛さを追求する場合には粉末と呼ばれるレベルまで粉砕し、ペースト状の調味料として使用することも可能です。
食用ではありませんが、温湿布剤としてエキスを利用するケースでは、唐辛子を微粉末にした方が都合が良いということもあります。

 

●胡椒
胡椒は、ラーメンやスープ系の料理によく使われる定番の香辛料です。
しかし、商品をよく見ると粗挽きコショウと通常のコショウの二種類が販売されています。
胡椒は辛さと香りを楽しむ調味料でもあり、粗挽きにした胡椒を調理終了間際に添加することによって料理に香りを付与することができます。
微粉砕したコショウにも香りは残っていますが、粗挽きコショウよりは香りが弱くなっています。
コショウの香りにこだわりを持っておられる方は粒コショウとして保管し、使用時にミルにかけて香りを利用する人もおられます。

 

●抹茶
緑茶の一種で、碾茶を茶臼で挽いて粉末にしたものが茶道で使用される本来の抹茶と呼ばれる粉末です。
緑茶は渋みと苦みが特徴の飲料ですが、抹茶にすることにより茶葉由来の特有の甘みが加えられるようになるというのが特徴です。
抹茶というと高級なイメージが強いですが、近年では微粉砕機を用いて粉末にした粉茶も抹茶として認識されています。
そのおかげで、和菓子や洋菓子、あるいは、ソフトクリームなど様々な食品に混ぜることが可能になっているというわけです。

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